漏電とは

漏電とは、電気が本来の通り道(電線や機器の中)から外へ漏れ出すことです。どんな危険があり、電気がどう流れているのかを、図を使って説明します。

漏電の危険性

漏れた電気は目に見えず、気づかないうちに次のような事故につながります。

  1. 感電人の体を電気が通る

    漏電している機器の金属部分に触れると、体を通って地面へ電気が流れます。水回りや濡れた手では、特に危険です。

  2. 火災漏れた電気が熱や火花を出す

    漏れた電気が建物の金属部分やほこり・湿気の上を流れ続けると、熱や火花が出て火災(漏電火災)になることがあります。

  3. 停電建物や近所の電気が止まる

    漏電遮断器(漏電ブレーカー)が働くと、その回路の電気が止まります。高圧で受電している建物で漏電(地絡)が起き、受電設備の保護装置が働かないと、電力会社の配電線が止まり、近所まで停電させる「波及事故」になることがあります。

漏電していない状態

電気は、変圧器(電気の出発点)から電線を通って機器へ行き、別の電線を通って変圧器へ帰ってきます。漏電していなければ、行きの電気と帰りの電気の量は同じです。漏電検知部では電流の行きと帰りが打ち消し合い、0Aと検知されます。

漏電していない状態 変圧器から行きの電線で機器へ10A流れ、帰りの電線で変圧器へ10A戻って一周します。接地線には電気が流れません。 大地(地中) 変圧器 電気の出発点 機器 例:エアコン・ モーター 金属の外箱 接地線 接地線 漏電検知部 行き 10A 帰り 10A
行き10A・帰り10Aで、量が同じです。接地線には電気が流れず、漏電遮断器も働きません。矢印の太さは電流の量を表しています(数値は説明のための例です)。

漏電している状態

電線や機器の中の絶縁(電気を通さない被覆など)が、古くなったり傷んだり湿ったりすると、電気の一部が機器の金属の外箱へ漏れます。漏れた電気は接地線や触れた人の体を通って地面へ流れ、地中を通って変圧器へ戻る別のループができます。そのため、帰りの電線に戻る電気が、行きより少なくなります。漏電検知部では、相殺しきれない分の4Aが検知されます。

漏電している状態 変圧器から行きの電線で機器へ10A流れ、機器で分かれて、6Aは帰りの電線で変圧器へ戻ります。残りの4Aは機器の外箱から接地線を通って地中へ漏れ、地中を通って変圧器の接地線から変圧器へ戻り、もう一つのループになります。 大地(地中) 変圧器 電気の出発点 機器 例:エアコン・ モーター 金属の外箱 接地線 接地線 漏電検知部 行き 10A 帰り 6A 漏れた電気 4A 地中を通って変圧器へ戻る
行き10Aに対して帰りは6A。差の4Aが漏れた電気です。矢印の太さは電流の量を表しています。漏電遮断器はこの差を感知して電気を止めます(数値は説明のための例です。実際の漏電遮断器は、住宅用などで0.03A程度の差で働きます)。

漏電はループしている

電気が流れ続けるには、出発点から出て、また出発点へ戻ってくる一周の道(ループ)が必要です。乾電池と豆電球も、+と−の両方をつないで一周させないと光りません。

漏電した電気も同じで、行き先がなくなるわけではありません。上の図のように、機器 → 接地線(または人の体)→ 大地 → 変圧器の接地線 → 変圧器と一周して、出発点の変圧器へ戻っています。

ループができると感電する

電線にとまった鳥が感電しないのは、体を通って戻る道ができないからです。地面に立った人が電気の通った部分に触ると、体から大地を通って変圧器へ戻るループができ、感電します。

ループだから漏電を見つけられる

漏れた電気は帰りの電線を通らないので、行きと帰りに差が出ます。漏電遮断器や漏れ電流の測定は、この差を見て漏電を見つけます。

感電している状態

機器の接地線が外れていたり、接地が不十分だったりすると、漏れた電気は外箱に触れた人の体を通って地面へ流れます。これが感電です。人の体も、機器 → 人の体 → 地中 → 変圧器と一周するループの一部になってしまいます。

感電している状態 変圧器から行きの電線で機器へ10A流れ、7Aは帰りの電線で変圧器へ戻ります。機器の接地線が外れているため、残りの3Aは外箱に触れた人の体を通って地中へ流れ、地中を通って変圧器の接地線から変圧器へ戻ります。 大地(地中) 変圧器 電気の出発点 機器 例:エアコン・ モーター 金属の外箱 接地線 × 接地線が外れている 漏電検知部 行き 10A 帰り 7A 人の体を通る電気 3A(感電) 地中を通って変圧器へ戻る
行き10Aに対して帰りは7A。差の3Aが人の体を通っています。矢印の太さは電流の量を表しています(数値は説明のための例です。実際には0.05A程度でも命に関わることがあります)。

漏電を検知する設備

東京電力の配電線から事業場の機器まで、それぞれの設備は次のような場所にあります。

漏電を検知する設備の設置場所 東京電力の変電所から6600Vの配電線が電柱へ来て、電柱のPASを通って事業場のキュービクルへ入ります。キュービクルの主遮断器と変圧器を通って100V・200Vになり、分電盤の漏電遮断器を通って負荷機器へ届きます。絶縁監視装置は変圧器の接地線に取り付けられ、漏電をメールで電気主任技術者へ通知します。PASやUGSがない事業場で高圧側が漏電すると、変電所の遮断器が動作し、周辺の地域ごと停電します。 東京電力の設備 責任分界点 事業場の設備 高圧側(6600V) 低圧側(100V・200V) 周辺の地域へ 東電 変電所 遮断器 PAS・UGSのない事業場が漏電すると、 ここで遮断され、地域ごと停電 電柱 PAS 地中引込なら UGS キュービクル(受電設備) 主遮断器 変圧器 接地線 絶縁監視 装置 メール 電気主任 技術者へ 分電盤 漏電遮断器 接地線 負荷機器 例:エアコン・ モーター 漏電を検知する設備
オレンジ色の枠が漏電を検知する設備です。PASは電柱の上、UGSは地中から引き込む場合に地上へ設置します(図は一例で、設備の構成は事業場によって異なります)。

漏電遮断器(漏電ブレーカー)は低圧側(100Vや200V)の漏電を検知した場合に電気を遮断します。

絶縁監視装置は低圧側の漏電を検知して、メール発報にて電気主任技術者へ通知します(トランス毎に測定し、50mA以上で発報)。当事務所ではほとんどの事業場へ絶縁監視装置を設置させて頂いています。

高圧側(6600Vの受電側)は、PAS(またはUGS)にて漏電を検知した場合に、事業場の大元のブレーカーであるPAS(またはUGS)を遮断します。PASやUGSを備えない事業場(またはPASやUGSが故障して正常動作しない場合)で高圧側が漏電した場合(高圧側の漏電は「地絡」と呼ばれます)、東電側の設備から電気を遮断するので、周辺の地域ごと停電します。