電気主任技術者の外部委託の手続き方法

自家用電気工作物の保安監督を、自社で選任した電気主任技術者ではなく外部へ委託できる根拠と手続きをまとめました。

法令の確認日:2026年10月29日(電気事業法 2026年8月3日施行版、電気事業法施行規則 2026年4月1日施行版)

電気主任技術者の形態

自家用電気工作物の設置者は、電気主任技術者を選任するのが原則です。一定の条件を満たす事業場に限り、承認を受けて保安管理業務を外部へ委託し、選任を不要にできます。

選任と外部委託の比較
形態内容対象・担い手
選任

原則として、一人の主任技術者に二つ以上の事業場を兼ねさせることはできません。兼任には承認が必要です。

根拠:
電気事業法施行規則 第52条第4項 [二以上の事業場の兼任は、承認を受けた場合を除き不可]
電気事業法施行規則 第53条の2 [様式第44の主任技術者兼任承認申請書]

すべての事業場で選択できます。外部委託の対象外の事業場では、選任が必要です。

外部委託

設置者が保安管理業務の委託契約を結び、産業保安監督部長等の承認を受けると、電気主任技術者を選任しないことができます。

根拠:
電気事業法施行規則 第52条第2項 [委託契約と承認により、電気主任技術者を選任しないことができる]

承認後、設置者は保安の確保にあたって委託先の意見を尊重しなければなりません。要件を満たさなくなった場合などは、承認が取り消されることがあります。

根拠:
電気事業法施行規則 第53条第4項・第5項 [委託先の意見の尊重。承認の取消し事由]

対象:電圧7,000V以下で受電する需要設備。発電所は、出力5,000kW未満の太陽電池発電所など、出力と連系電圧の条件を満たすものに限られます。

根拠:
電気事業法施行規則 第52条第2項各号 [第4号:7,000V以下で受電する需要設備。第1~3号:7,000V以下で連系等をする一定出力未満の発電所・蓄電所。第5号:600V以下の配電線路]

委託先:電気管理技術者(個人)または電気保安法人。免状や実務経験などの告示要件、測定器、担当事業場数の上限を満たす者に限られます。

根拠:
電気事業法施行規則 第52条の2 [個人事業者・法人ごとの要件]
電気事業法施行規則 第53条第3項 [「電気管理技術者」「電気保安法人」の定義]

内規は令和5年3月20日改正版の控えで確認しています。ページ番号はPDF先頭から数えたページです。

手続き方法

形態と切替えの場面ごとの主な手続きです。提出先は、事業場が一つの産業保安監督部の管内にあれば、その産業保安監督部長です。

  1. 選任電気主任技術者を選任する場合

    1. 選任

    自社の役員・従業員のうち電気主任技術者免状を持つ者を、事業場ごとに選任します。

    2. 選任届出

    遅滞なく主任技術者選任届出書(様式第46)を提出します。解任したときも届け出ます。

    3. 保安規程の届出

    使用開始前に保安規程を定めて届け出ます。変更したときは変更届出をします。

    根拠条文:
    電気事業法 第43条第3項 [選任・解任したときは、遅滞なく届け出なければならない]
    電気事業法施行規則 第55条 [様式第46の主任技術者選任又は解任届出書]
    電気事業法 第42条第1項・第2項 [保安規程を使用開始前に届出。変更したときは遅滞なく届出]
    電気事業法施行規則 第51条 [様式第41の保安規程届出書、様式第42の保安規程変更届出書]
  2. 外部委託新設事業場において電気主任技術者を外部委託する場合

    新たに設置する事業場で、最初から外部委託にする場合です。委託契約は保安管理業務の委託のみを内容とし、点検頻度、非常時の連絡方法、双方の義務と責任を定めます。

    1. 委託契約

    電気管理技術者または電気保安法人と、保安管理業務の委託契約を結びます。

    2. 外部委託承認申請

    保安ネット(電子申請)から申請し、委託先の執務に関する説明書、委託契約書の写し、委託先が要件を満たすことを証する書類を添付します。保安ネットで申請する場合、様式第43の申請書は不要です。

    3. 保安規程の届出

    委託を前提とした保安規程を、使用開始前に保安ネット(電子申請)から届け出ます。様式第41の届出書は不要です。

    根拠条文:
    電気事業法施行規則 第53条第1項・第2項 [第1項:様式第43の申請書に、委託契約の相手方の執務に関する説明書、委託契約書の写し、相手方が要件に該当することを証する書類を添付。第2項:承認の基準]
    情報通信技術を活用した行政の推進等に関する法律 第6条第1項・第2項 [書面等で行うと定められた申請も、電子情報処理組織(保安ネット)で行うことができ、その場合は法令に定める方法で行ったものとみなす]
    電気事業法施行規則 第52条第2項 [承認権者:経済産業大臣(事業場が一の産業保安監督部の管轄区域内のみにある場合は産業保安監督部長)]
    電気事業法 第42条第1項 [保安規程を使用開始前に届出]
    電気事業法施行規則 第51条第1項 [様式第41の保安規程届出書]
  3. 切替え選任から外部委託へ切り替える場合

    選任している電気主任技術者から外部委託に切替える場合です。外部委託の承認を受けるまでは、選任中の主任技術者を解任しないでください。承認がないまま解任すると、主任技術者のいない期間ができます。

    1. 委託契約

    電気管理技術者または電気保安法人と、保安管理業務の委託契約を結びます。

    2. 外部委託承認申請

    保安ネット(電子申請)から申請します。様式第43の申請書は不要で、添付書類は新設事業場の場合と同じです。

    3. 保安規程の変更届出

    保安の体制が変わるため、保安ネット(電子申請)から保安規程の変更を届け出て、変更理由書を添付します。様式第42の届出書は不要です。

    4. 解任届出

    選任していた主任技術者を解任したら、遅滞なく主任技術者選任又は解任届出書(様式第46)で解任を届け出ます。

    根拠条文:
    電気事業法施行規則 第53条第1項・第2項 [第1項:様式第43の申請書に、委託契約の相手方の執務に関する説明書、委託契約書の写し、相手方が要件に該当することを証する書類を添付。第2項:承認の基準]
    情報通信技術を活用した行政の推進等に関する法律 第6条第1項・第2項 [書面等で行うと定められた申請も、電子情報処理組織(保安ネット)で行うことができ、その場合は法令に定める方法で行ったものとみなす]
    電気事業法施行規則 第52条第2項 [委託契約が要件に該当する者と締結され、承認を受けた事業場に限り、電気主任技術者を選任しないことができる]
    電気事業法 第42条第2項 [保安規程を変更したときは、遅滞なく変更した事項を届出]
    電気事業法施行規則 第51条第2項・第3項 [第2項:様式第42の保安規程変更届出書に、変更を必要とする理由を記載した書類を添付。第3項:電子情報処理組織(保安ネット)を使用して変更届出をする場合の特例]
    電気事業法 第43条第3項 [主任技術者を選任したときは遅滞なく届出。「これを解任したときも、同様とする」]
    電気事業法施行規則 第55条 [様式第46の主任技術者選任又は解任届出書]
  4. 切替え外部委託先を別の外部委託先に切り替える場合

    外部委託の承認は、委託契約の相手方ごとに審査されます。委託先を替えるときは、新しい委託契約で承認を受け直します。新しい承認を受ける前に今の契約を終えると、選任も承認もない期間ができるため、契約の終了日と承認日を合わせてください。

    1. 新しい委託契約

    新しい委託先(電気管理技術者または電気保安法人)と委託契約を結びます。

    2. 外部委託承認申請

    新しい委託契約について、保安ネット(電子申請)から申請します。様式第43の申請書は不要です。

    3. 保安規程の変更届出(該当する場合)

    保安規程に委託先の名称や連絡体制などを定めている場合は、保安ネット(電子申請)から変更を届け出ます。様式第42の届出書は不要です。

    解任届出は不要

    外部委託先は選任された主任技術者ではないため、委託先の交代は解任届出(法第43条第3項)の対象になりません。

    根拠条文:
    電気事業法施行規則 第53条第1項・第2項 [第1項:様式第43の申請書に、委託契約の相手方の執務に関する説明書、委託契約書の写し、相手方が要件に該当することを証する書類を添付。第2項:承認の基準]
    情報通信技術を活用した行政の推進等に関する法律 第6条第1項・第2項 [書面等で行うと定められた申請も、電子情報処理組織(保安ネット)で行うことができ、その場合は法令に定める方法で行ったものとみなす]
    電気事業法施行規則 第52条第2項 [委託契約が要件に該当する者と締結され、承認を受けた事業場に限り、電気主任技術者を選任しないことができる]
    電気事業法施行規則 第53条第5項第1号 [承認の基準(第2項各号)に該当しなくなったときは、承認を取り消すことができる]
    電気事業法 第42条第2項 [保安規程を変更したときは、遅滞なく変更した事項を届出]
    電気事業法 第43条第3項 [届出の対象は、主任技術者を選任・解任したとき]

告示要件(委託先の実務経験、機械器具、点検頻度など)や個別の申請は、管轄の産業保安監督部の案内もご確認ください。